「武骨者です、実は、茶などいただいたことがないので、飲むすべも、作法も知らないのですが」
すると、妙秀が、
「なんのい……」
と、孫でもたしなめるように、やさしく睨めた。
「茶に知るの、知らぬのという、智恵がましい賢らごとはないものぞよ。武骨者なら武骨者らしゅう飲んだがよいに」
「そうですか」
「作法が茶事ではない、作法は心がまえ。――あなたのなさる剣もそうではありませぬか」
「そうです」
「心がまえに、肩を凝らしていては、せっかくの茶味が損じまする。剣ならば、体ばかり固うなって、心と刀の円通というものを失うでござりましょうが」吉川英治『宮本武蔵(三)』講談社 P291 風の巻 生きる達人
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July 10, 2005
作法は心がまえ
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